機転をきかせて腰を抱いた彼に、顔を隠しながら合わせる。恥ずかしがるフリをして無言でくっつくと、眉を寄せた騎士は軽く咳払いをして気まずそうに続けた。
「勝手な行動はお控えください。あと三十分ほどで会談がはじまります」
「はいはい。連絡先をもらえたらすぐ行きますよ」
軟派な彼はひらりと手を振って目を細めている。
半ばあきれたように去っていく騎士が廊下の角に消えた後、ふたりはドッと冷や汗をかいた。
「はぁ危ねぇ……ごめんね、勝手に触っちゃって。陛下には内緒にして?」
「い、言いませんよ。助かりました」
身軽に距離をとったレンテオさんは真剣な表情に変わる。
「会談はあと三十分後か。それまでに現状をなんとかしないとだな」
「ルビ草は私に任せてください。レンテオさんは、自分ももちろん、お仲間とベルナルド様をお守りして」
メイドキャップをかぶりなおし、彼に背を向けた。
倉庫を目指す私を引き止めようとしていたが、やがて応接室へ足早に駆けていく音が耳に届く。
きっと、レンテオさんならうまくやってくれるはずだ。私は最悪の事態に備えてルビ草の処分をするだけ。



