隣国には、私の知らない生き物がたくさんいるようだ。目の前の彼女も耳が尖っている。エルフだろうか。
それにしても、あの獰猛そうな獣が私をここまで運んでくれたなんて。
状況が掴めないながらもドキドキする胸を抑えていると、お腹の虫がぐぅ、と鳴った。元気な彼女は、太陽のような笑みで続ける。
「お腹が空いてるんだねぇ!話はまた後にしよう。食事を用意したから食堂へおいで。あなたのお名前は?」
「申し遅れました。エスターです」
「エスター!いい名前だ。えらくべっぴんなお嬢さんが来たもんだよ。ラヴィスも隅に置けないね」
せかせかと案内するボナさんに続いて廊下を進むと、改めて広い城であると実感した。赤い絨毯の敷き詰められた廊下は丁寧に掃除が行き届いており、古いながらも趣きがあって素敵だ。
ボナさんが用意してくれた食事もほっぺたが落ちるほど美味しくて、ぺろりと平らげた。
寝床を貸してくれた上に食事まで用意してくれるなんて、感謝しかないわ。そろそろ、城の主人にちゃんと挨拶をしなきゃ。


