テラスに飾られていた花瓶が目にとまり、ある考えが思いつく。
うまくいく保証はないけど、自由に動くためにはやるしかないわ。
「あの、すみません」
別館の近くで荷物を運んでいたメイドに声をかける。彼女は、私の姿を見るなり目を見開いた。
「まぁ!あなた、びしょびしょじゃない!」
花瓶の中の水を頭からかぶり、迎賓館にふさわしくない服を脱ぎ捨てた。さすがに肌着で外には出られなかったので、化粧室のカーテンを羽織ってごまかす。
なんとも無謀な作戦だが、他に方法がなかった。
「掃除中にバケツの水を誤って被ってしまったの。でも、ゲストが歩くカーペットを濡れた服で汚すわけにはいかないでしょう?」
「たしかにそうだけど……とりあえず、その格好を見られたらまずいわ。早くこっちに来なさい」
急いで別館の一室に連れ込まれ、メイド服を手渡される。
「あなた、新人?見ない顔ね」
「えぇ。今回の計画のために増員として送り込まれたの。ここで働くメイドなら知っているんでしょう?今夜、ここでなにが起こるのか」



