悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



『近々予定されているモンペリエ国での公務に向けて王都の城へ行くつもりだ』


 陛下が言っていたのはこのことだったのね?私は、ベルナルド様やレンテオさん達を殺す犯罪の片棒を担がされるの?

 必死に頭を働かせた。

 ここで逃げてベルナルド様達に知らせようにも、連絡を取る手段がない。王都や古城に着く前に捕まって、最悪の場合殺される可能性もある。

 周りは屈強な男性ばかりだし、裏取引の情報を知ってしまった今、簡単に見逃してはくれないだろう。

 すぐに処分する方法がないうえに、移動が馬車なら途中で投げ捨てるのも無謀だ。

 こうなったら、やるしかない。


「わかりました。私がモンペリエ国まで運びます」


 なんとしてでも計画を阻止するために、ベルナルド様達の命を狙う敵の本拠地でルビ草を処分してみせる。

 味方のフリをして忍び込んで、うまく立ち回るんだ。

 静かな覚悟を胸に秘め、手のひらをきつく握りしめた。