私がさまよった森の奥にこんな城があったなんて。それにしても、いったいどうやってここまで来たんだろう。
意識を失う前の記憶をさかのぼると、黄金の瞳が脳裏に浮かぶ。
「あら!気がついたのね」
陽気な声に驚いて振り向くと、そこにはふくよかな体型の美しい女性が立っていた。
歳は三十代後半くらいで、緑のスカートに白いエプロンをかけ、大きな胸とお尻のインパクトが強い。城の使用人らしき彼女は、こちらの顔をみるなり、にこりとした。
「あぁ、びっくりしないで。私はボナ。この城のメイド長よ。昨日の夜、ラヴィスが可愛らしい女の子を背負って帰ってきたもんだから驚いたわ!服を変えて温めたから風邪は引かなかったようだけど、目が覚めてよかった」
「ラヴィスって、あの大きな犬……白いオオカミですか?」
「あはは!あれは犬でもオオカミでもない別の生き物なのよ。エピナント国では、ヴォルランって呼ばれているの」


