悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



 そのまま抱き込むように体を丸くした彼は、私の手に優しくすり寄る。

 とても温かい。もしかして、暖をとってくれているの?

 冷え切っていた体は触れ合った箇所から熱が伝わり、ぽかぽかと温まっていく。一方、立派な毛並みに包まれたベルナルド様も寒くないようだ。

 ひだまりの中にいるみたい。柔らかくていい匂いで安心するな。

 つい、うとうとしそうになる意識を必死に保っていると「ぐるる」と喉を鳴らされた。大きな尻尾でなでられて、黄金の瞳が閉じる。


「このまま寝てもいいのですか?」


 以前枕にして爆睡しておいてなにを今さら、と言わんばかりの彼は、私を離そうとしなかった。

 嬉しさで胸がいっぱいになって、素直に体を預ける。

 許してください。これは寒いから抱きついているんです。雨があがれば、彼は私の前から消えてしまう。

 ずっとくっついていたいなんてわがままは言いません。

 だから今だけは、柔らかな温もりに包まれていさせて。

 雨の音が響く中、幸せな夢の中へとおちていった。