悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 自分の不遇な人生に涙が出そうになったそのとき、力強い遠吠えが辺りに響き渡った。野犬の動きが一瞬で止まる。

 颯爽とその場へ姿を現したのは、一匹の真っ白な獣だ。ふさふさの尻尾に立派な耳。息を呑むほど美しい黄金の瞳は、鋭く野犬を睨んでいる。


「グァォ……!」


 威嚇する吠え声に空気がビリビリ震えた。野犬は、ひと睨みされただけで尻尾巻いて逃げていく。

 それは百獣の王と形容できるほど威圧感があり、弱肉強食の世界でトップに君臨している存在だと理解できた。


 なにが起こったの……?この子が、助けてくれた?

 森に残されたのは、私ひとりだ。辺りはしぃんと静まり返る。雨に打たれる美しい獣は、静かに佇んでいた。目を凝らすが、次第に視界がぼやけていく。


ーードサッ!


 極度の緊張状態から解放されて、疲労と空腹で意識を飛ばす間際、宝石のような黄金の瞳がこちらを見つめた気がした。