悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 雷に打たれたような衝撃が走った。

 指先が冷たくなって、目の前が真っ暗になる。

 ベルナルド様が死ぬ?この世からいなくなってしまうの?

 頭の中にこれまでの記憶がドッと流れ込む。

 本心をあまり口にしないけれど、不器用な優しさで包んでくれた。悪役として国外追放された私を迎え入れて、居場所をくれた。

 喉に手をあてがわれて拒絶された日も、はじめてダンスホールで踊った夜も、ヴォルランの姿で寄り添ってくれたときも、全てが愛おしい。


『厄介ごとに巻き込む人物は最小限の方がいい。計画をうまく運ぶためにもな』


 かつて、彼はそんなセリフを口にしていた。

 もしも、病を隠していたのが同じ理由なら、厄介ごとに巻き込まないために守ってくれていたことになる。

 悪役を演じたまま本物の妃も迎えず、最後はひとりで死ぬ覚悟をしていたのなら、彼の心はどれだけ傷だらけなのだろう。


「うっ……」