喉が締め付けられるように苦しくなった。衝撃の事実に、うまく息が吸えない。
ベルナルド様は、ずっと病にかかっていたの?
ドミニコラさんは、そっと布団をかけ直して椅子に戻った。
「病の発現は個人差があるから王族は短命というわけではないが、主の場合は早すぎた。彼の母親も出産をしてすぐに亡くなったんだ」
たしか、ボナさんは陛下の乳母だと言っていた。王室の子どもは乳母が育てるのが普通だと思っていたが、ベルナルド様の場合は育てられない理由があったんだ。
父親の死去と同時に王位を継承したベルナルド様は天涯孤独。その裏には、王族が彼しかいないという奇妙な謎があった。
まさか、代々呪いのように受け継がれる病があったなんて。
「僕は長年この病について研究をしていてね。古城を空けて各国を飛び回っていたのも病に効く薬草を探すためだったんだけど、主からの伝書鳩で『ストックの常備薬が切れた』と連絡があって、急いでトンボ返りしたわけさ」
そのとき、はっとする。
まさか、カティアが忍び込んだ日に割れた瓶がベルナルド様の常備薬だったの?
たしかに、厳重保管の棚から落ちた瓶を見て、陛下は様子がおかしかった。私が突き飛ばされたときに割ってしまった中に、大事な薬が紛れていたんだ。
寝込む姿を見て、胸が締め付けられる。
ここまで追い込んでしまったのは私だ。



