悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 周囲が緊張から解き放たれた途端、使用人達から嬉々とした声が聞こえてきた。


「ドミニコラ様だ、本物か?」

「ウチの最強薬師が帰ってきた」


 その場に現れた救世主の正体を察すると、くたっと意識を飛ばしたベルナルド様を軽々と担いだ男性は人々に視線を向ける。


「ただいま、みんな。一人ひとりに挨拶をしたいところだけど、今は主の体調が優先だ。医務室に運ぶ間、傘をさしてくれるかい?」


 物腰柔らかな口調な指示に、使用人たちは素早く動きだした。やがて、男性は私に声をかける。


「お嬢さんもおいで。君の噂は耳に入っている」


 その後は、言われるがまま彼について行った。

 医務室のベッドに横たわるベルナルド様を看つつ、初対面の男性と向き合う。


「初めまして。僕の名はドミニコラ。長い間、植物園を管理してくれていたそうだね。ありがとう」

「こちらこそ、不在の間に使わせてもらえて助かりました。私はエスターと申します」

「婚約者の噂はかねがね。主が婚約者を迎えたと知って驚いたよ」