足が痛い。お腹が空いた。牢に入れられてからは、ろくな食事を与えられていない。雨宿りをしないと命に関わるが、近くには民家の明かりはないようだ。
次の瞬間、目の前の茂みから葉を揺らす音がした。
旅人の救世主かと思ったが、視線の先にあったのは、鋭い獣の瞳である。威嚇してグルルと唸るのは野犬だ。
しかし、その大きさはペットとして可愛がられている犬のサイズを遥かに越えており、獰猛な殺気が私をとらえた。
後からぞろぞろと仲間が現れ、群れに囲まれていると察する。
「ひっ……!」
緊張のあまり喉がしまって、細く息を吸う音が鳴る。餌にされる、と本能が危険信号をともした。
武器はもちろんないし、走って逃げ切れるほどの脚力もない。まともに立ち向かっても勝機はなかった。
浅い呼吸で脳を必死に働かせるが、どうしたらいいのかわからず足の力が抜ける。
私は、こんなところで死ぬのか。
罠にはまって国外追放されて、野犬に襲われて命を落とすなんてあんまりだ。


