「ラヴィスは最近自室で食べているのよ。根を詰めすぎても心配だけど、返ってくる食器はいつも綺麗だし、食欲があるぶん安心ね」
ボナさんはそう言って笑っていたけれど、薬室の掃除を終えて割れた瓶を分別したとき、城の裏手にあるゴミ置き場に手付かずの料理が捨てられているのを知っていた。
もしかして、自室に運ばせた食事をそのまま捨てている?
ボナさんの性格上、陛下が「いらない」と言っても健康のため無理やり食べさせるくらいはするはずだ。それをわかっているから、あえて黙って処分しているのか?
ゴミ置き場に出入りするのは薬室を片付けた私くらいだし、城のコック達が生ゴミを置いた後に捨てられているため、他の使用人は気づいていない。
得体の知れない不安がよぎり、つい、彼の部屋を訪ねる。
しかし、いつもは引き入れてくれるベルナルド様は扉越しに冷たく言い放った。
「お前に構う暇はない。勝手にこの塔へ足を踏み入れるな。早々に去れ」



