悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 友人でも本物の夫婦でもない関係なのだから、必要以上にプライベートな空間を共にするのはおかしいと理解してはいるが、なぜか寂しい。

 落ち込む権利もないのに。どうしてこんなに胸がざわめくの?

 心当たりはあった。薬室を荒らされた原因を作った私を本当は嫌いになったんじゃないかと不安なのだ。いつのまにか、彼に嫌われるのが怖くなっている。

 もともと好かれていないじゃない。あの人は、初対面で私に剣を突きつけて殺そうとしたのよ?

 城に来たばかりの頃は、裏切られた過去が悲しくて独りぼっちで寂しくて、眠れない夜を過ごしていた。

 その記憶がよぎらなくなるほど、私は獣の温かさに甘えてしまっているのだ。

 冷たい瞳の奥に宿る信念や悪役を演じてまで国を守ろうとする覚悟を知って、不器用で孤独な陛下に寄り添いたいと思ってしまった。

 会談を二日前に控えた頃から、ここのところ食堂にベルナルド様が姿を現さないと気づく。