伴侶を容姿や財力で価値判断する気はこちらにはさらさらないが、カティアにとっては重要だったらしい。
嫌がらせ、もしくは今いる家を追い出されるほどの事件を起こしてやろうと画策して植物園に忍び込んだのだ。
市場でベルナルド様に一喝された後に馬車を尾行して、この古城に住んでいると突き止めたのなら納得がいく。
カティアは私が今も薬師として働いていると知っているし、なにを傷つければ一番ダメージを与えられるかをわかっている。
毒の件も今回も、私の聖域を荒らした。
悔しい。いつまで経っても、カティアに人生を狂わされる。
誇りを持って働いていた植物園から解雇して、大好きだったランジェット夫妻と離れ離れにしておいて、まだ私の居場所を奪おうとするの?
ドミニコラさんの不在の間だけ預かっていたはずの薬室をめちゃくちゃにされてしまった。
どう謝ればいいのかすら考えもつかない。
「お前のせいじゃない。命が無事でよかった」
そう告げた彼は、数秒後に動きを止めた。
視線の先には割れた小瓶がある。厳重保管の棚の薬品らしいが、冷静な彼の顔に一瞬激しい動揺が走った。



