息も絶え絶えにそう告げると、部屋の惨状から状況を察したらしい彼は真剣な表情で続ける。
「お前の悲鳴が聞こえた。侵入者を許したのは俺の落ち度だ。逃げ出した奴は騎士に追わせている」
銀色の髪の合間から、獣の耳が揺れている。臨戦態勢で、聴覚が過敏になっているようだ。
私の声を聞いて駆けつけてくれたんだ。
緊張から解放されて息が整った後、心に押し寄せたのは罪悪感だった。
「すみません、全て私が招いたトラブルです」
「何を言う。お前は被害者だろう」
「いえ。犯人はカティアです。私を国から追い出した令嬢が、ここにいました」
状況を理解した黄金の瞳が見開かれる。
フードの奥にあったのは、忘れるはずのない天敵である。
先日の市場での一件後、私がグレイソンよりもはるかに眉目秀麗で金持ちそうな男性を旦那に迎え、幸せに暮らしていると知って許せなかったのだろう。プライドが高く自己中心的な性格はいまだに変わっていない。



