悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました

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「陛下。レンテオ団長から届いた手紙をお届けに参りました」


 数日後。雨が窓を濡らす昼間、ベルナルド様の自室で過ごしていると、古城の警備にあたる若い騎士が封筒を手にやって来た。

 尻尾で私をあやしながら、長いまつ毛に縁取られた涼しげな瞳が文字の羅列を追っていく。


「お仕事のご連絡ですか?」

「あぁ。来週の公務だ」


 手紙は、隣国の要人を招いた毎年恒例の会談があるため、城に戻って出席してほしいという内容である。

 要人の中には先日一悶着あったモンペリエ国の外交官も含まれており、胸がざわめいた。


「案ずるな。獣の縄張りで自ら狩られにくる愚かな真似はしないだろう」


 不安がよぎったのを察した指が、軽く頭を撫でる。不思議だ。なぜこの人には私の考えが筒抜けなんだろう。

 それにこの仕草は子ども扱いというか、歳の離れた保護対象を甘やかしているみたい。力加減をした指が優しい気がする。

 なんだか、最近ベルナルド様の側にいると落ち着かない。恐怖や緊張ではなく、たまに流れる甘い空気に心がむず痒くなるのだ。