――『俺に女がいても関係ないとか言うなよ』
あの日、健吾はそう言ってくれたけれど、それ以上のことは何もなくて。
健吾の本当の気持ちがわからないから、知りたいし、
でも知りたくないんだ。
放課後、帰る支度をしていると教室の外が騒がしくなった。
「ア~キ~ちゃん、遊びましょ」
そう言ってひょこっと顔を出したのは、シンさんだ。
突然の3年生の登場に周りはきゃあきゃあとざわめくけれど、シンさんは遠慮することなく教室に入ってきた。
そして……健吾も。
「よう」
アキさんに会いにきたはずなのに、まずあたしに声をかけてくれる健吾。
そんな小さなことすら、あたしは見逃さずに嬉しくなってしまう。



