瞬間、クラスの誰もが釘付けにされた。
入って来たのはひとりの男子生徒。
見覚えのない、でも思わず見惚れてしまうほどきれいな顔の。
もしかしてこの人、
と思ったとき
「アキさん!」
ミツルが立ち上がって叫んだ。
「お久しぶりっす。やっと学校来たんですねー」
先生の制止を無視してかけ寄るミツル。
やっぱり。
この人がアキさんなんだ。
ついさっきまで噂していた人の登場に、あたしは好奇心を抑えきれずジロジロと見てしまう。
「お前もこのクラス?」
「はい! あ、アキさんの席はこっちッス」
ミツルに案内され、あたしの隣にアキさんが座る。
教室中から注がれる、痛いほどの視線。
それを気にする様子もなく、アキさんは背もたれに体重を預けて目をふせた。



