なるほど。

あたしと真由ちゃんは、隣の空席を見て大きくうなずいた。


たしかにこれじゃ進級できないはずだ。

2度も留年しておきながら今年も堂々と休みまくるなんて、肝が太いというか、何というか。


「ねぇねぇ、そのアキさんってどんな人なの?
男? 女?」
 

真由ちゃんが声を弾ませてミツルにたずねた。


「男。でもどんな人かは、正直よくわかんねぇんだ。掴みどころがないっつーか、謎っつーか。
健吾さんも“あいつは気まぐれだからたまに連絡とれなくなる”って言ってたしな」


「あっ!」
 

唐突に叫んだあたしを、ふたりが不思議そうに見下ろした。


「どうしたの? 莉子ちゃん」

「……ううん、何でもない」
 

そう言ってごまかしたけれど、本当は、ミツルの話を聞いて思い出したことがあった。