「それっぽい人はいないね」 真由ちゃんが店内を見回してつぶやいた。 「やっぱり誰かのイタズラだったんじゃないかな」 そう言ったあたしの唇は、かすかに震えていた。 「莉子ちゃん、もう少し外で待ってみる?」 「ん……」 とりあえず店を出たけれど、完全に肩すかしをくらった気分。 夜が深まった国道は車の通りも少なく、コンビニの白い明かりだけが闇にぽつんと灯っている。 ……もう一度だけ、メールを送ってみようかな。 そう思い携帯を取り出したあたしの背後で、人影が動いた。