「終電に間に合わなかったら帰りはタクシーだね」
階段をおりながら真由ちゃんが言った。
「付き合わせてごめんね」
「ううん、あたしがついてきたんだし。
だってさぁ、やっぱり気になるんだもん」
どうやら真由ちゃんはまだ望みを捨てていないらしい。
街のネオンよりもっと瞳を輝かせて
「もし月島先輩が来たら、あたしはさっさと退散するからね。友達の車に迎えに来てもらうし、気にしないで」
とあたしの肩をたたく。
「だから莉子ちゃんは、先輩と朝までゆっくり……」
「ちょっと! 変なこと言わないでよ」
「照れるなって~」
いや、別に照れてるわけじゃなくて。
変に期待して、ガッカリしたくないだけだよ。
……とは言えなかった。
階段をおりてまっすぐ進むと、ひときわにぎやかな通りがある。
健吾のバイト先のカラオケ店もそのあたりだ。
メールで指定されたコンビニへは、通りの手前で左折して少し歩く。
繁華街を抜けて国道沿いの道に出ると、コンビニのあかりが見えてきた。



