「……莉子?」
 

健吾のその声も、あたしに届いた気がした。



見開いた健吾の瞳には

とまどいと
そして愛おしさ。


あたしは涙を流しながら、その瞳を見つめ返す。



「なんで……莉子がここに?」
 


歓声がやんだ競技場で、こんどはハッキリと、健吾の声を聞くことができた。



そしてあたしは涙をふいて

笑顔で答えたんだ。




「健吾と、もう一度……

幸せになるために来たんだよ」