真由ちゃんが駅まで送ってくれることになり、あたしたちはおしゃべりしながら夜道を歩いた。
閉店時間を過ぎ、ほとんどの店のシャッターが閉まった商店街。
電球の切れかけた街灯がどこか寂しげに点滅していた。
こんな時間帯に外を歩いているなんて、ちょっと不思議な気分。
「莉子ちゃん」
ふと真由ちゃんが言った。
「おうちに連絡しとかなくて大丈夫?」
「うん。どうせ誰もいないもん」
「そうなの?」
「うち、片親でお母さんが夜勤多いから。
お姉ちゃんもほとんど家にいないし、夜はあたしひとりのことが多いんだ」
あたしはそこで、ハッと口をつぐんだ。
何をペラペラしゃべってるの、あたし。
言うつもりなんてなかったのに。



