健吾、どんな気持ちでこの10日間を……。 あたしは何も言えないまま、健吾の唇の横にバンソーコーを貼った。 そのときだ。 あたしの手に、冷たいものが触れた。 「……健吾?」 それは初めて見る、健吾の涙。 声も出さず、健吾は両方の瞳から涙を流していた。 「健吾……っ!!」 あたしの中で何かが壊れた。 健吾の涙を見た瞬間、理性はどこかに吹き飛んで 健吾を抱きしめていた。