「辛いのはなぁ、お前だけじゃねぇんだよ!!」
シンさんが叫びながら健吾のシャツをつかむ。
「やめてっ、シンさんっ!!」
違うの……
健吾がこうなったのは、あたしのせいでもあるのに。
必死で止めようとするけれど、シンさんの怒りはおさまらない。
いつも温厚なシンさんからは、想像もできない姿。
「……お前にはわかんねぇんだよ!」
健吾の拳がシンさんの頬にめり込んだ。
そこからはもう、ひどい有様だった。
「やめて、お願いっ」
泣きわめくあたしの声は、まるでふたりに届かない。
誰か……止めて。
誰か
誰か
“誰か”
――――アキ!!
「――っ…」
あたし……無意識に今
アキの名前を思い浮かべた?
そのことに気づいた瞬間、すさまじい恐怖に襲われた。



