あたしは来る途中に買ってきたお弁当を、健吾に押し付けた。
「健吾っ。これ、食べて……!このままじゃ健吾まで倒れちゃうよ!」
だけど健吾はあからさまに、あたしから視線をそらす。
「いらねぇ」
「でもっ」
「いらねぇって言ってんだろ!」
健吾の払った腕が、あたしの手に当たった。
勢いよく床に落ちるお弁当。
ぐしゃっ、という音が、マンションの廊下に響く。
「……いいかげんにしろよっ!!」
怒鳴ったのは、シンさんだった。
シンさんはドアのすき間から健吾を引きずりだすと
その左頬を思いきり殴りつけた。
飛ばされる健吾の体。
あたしは悲鳴をあげた。



