こんなことになるなんて、思っていなかった。
これからいくらでも、話ができると思っていたんだ。
だから、アキが身代わりで停学になったとき
あたしはアキの気持ちにうすうす気づいていたのに、知らないふりをして。
向き合うことから逃げてきて……。
こんなに後悔するのなら、なんであのとき向き合わなかったんだろう……。
「ごめんなさい。もう、大丈夫です」
少し落ち着いたあたしは、ハンカチで涙を拭いて言った。
「大丈夫じゃなくてもいいよ」
シンさんの優しい言葉が、胸にしみる。
あたしたちは病院をあとにして、健吾の家に向かった。



