待合室に入ると、サヨさんはアキの家族と話し始めたので

さっきの会話は中断になってしまった。


――『それ……アキがそう言ったの?』
 

まるで“手術は簡単”という言葉を、否定しているみたいに聞こえたけれど。

そんな意味じゃないよね? 

気にしすぎだよね……?
 



あたしは待合室の端にあるソファーに座った。

そして健吾は、反対側の端に座る。
 

この部屋の中で、あたしたちは一番遠かった。

 





予定時刻を過ぎても、手術はなかなか終わらなかった。
 

部屋の中はしだいに会話がなくなり、重い沈黙がのしかかってくる。
 

早く……
早く終わって……。