長い長い時間
あたしは祈るような気持ちで過ごした。


健吾も今ごろ、試験会場でがんばっているんだ。
 

あたしと健吾の未来は、もう途切れてしまったのかもしれないけれど。

それでも健吾には、大学を受かってほしいよ……。
 


何時間か過ぎたころ、サヨさんが病院にやって来た。


「莉子ちゃん。ここにいたの?」

「サヨさん……」
 

お久しぶりです、と頭を下げるあたし。


「もうすぐ手術が終わる時間だから、一緒に行こう」

「はい」
 

ふたりでエレベーターに乗り、待合室がある階のボタンを押した。



「サヨさん、アキのためにS市から駆けつけたんですか?」


「うん。……以前アキがね、うちの兄貴と約束してたんだ。
必ず手術を受けて、元気な体を手に入れるって」


「お兄さんと?」


「だから妹のあたしが、ちゃんと見届けなきゃって思ってさ」
 


そういえば、サヨさんとアキが知り合ったきっかけは
サヨさんのお兄さんだったっけ。