――『お前は、俺が見つけた最高の女なんだ』
健吾からもらったあの言葉も
きっともう聞けないね。
あたしはもう
健吾の“最高の女”には戻れないんだね……。
二晩泣き通しても、涙は枯れなかった。
ゆっくりと明けてゆく空を、あたしは部屋の窓からながめていた。
健吾の大学入試
そして、アキの手術の日。
太陽はいつもと変わらず東の空に顔を出す。
あたしは顔を洗い、制服ではなく私服にそでを通すと
意を決して家を出た。
まだ気持ちの整理はついていない。
だけど……行かなくちゃいけない場所があるから。
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