勢いまかせで言い返したけれど、あながち間違っていないことに気づいた。
そうだ。関係ないんだ。
健吾が女の人の話をしていたとしても、あたしが口をはさむことじゃない。
それに、こいつに彼女がいない方がおかしいわけで。
なのにどうして今まで、そのことを考えなかったんだろう。
なぜか息が詰まったように苦しくなり、あたしは小さく咳ばらいした。
それを煙のせいだと思ったのか、健吾は何も言わずにタバコを消してくれた。
あたしは健吾のことを何も知らない。
けど、こういうさりげない優しさを持った人だということはわかる。
だからといって勘違いしちゃいけないんだ。
何度も、自分にそう言い聞かせた。



