……涙が、止まらない。 うまく息ができない。 胸が熱くて、痛くて。 アキの想いが あまりにも大きすぎて。 あたしは今まで、その想いに気づくこともなく 当たり前のように、アキに守られ続けていたんだ――…。 病院の前でタクシーが止まり、左側のドアが開いた。 「莉子ちゃん。アキに……会ってあげてくれる?」 アキのお母さんが、そっとあたしに手を伸ばした。 アキにそっくりの、白くて華奢な手。 「……はい」 あたしはその手をとり、うなずいた。