「……っ」 目のふちで留まっていた涙が、こらえきれずに流れた。 あたしはそれをハンカチでぬぐうこともせず、ぼたぼたとスカートの上に落とした。 「辛いこと聞かせてごめんなさいね。 だけど母親として、莉子ちゃんには知ってもらいたかったの」 アキのお母さんがあたしの背中をさすりながら、言った。 「あの子は、きっと莉子ちゃんのことが好きだから」 「え……?」 あたしは顔を上げて、アキのお母さんを見た。 そこにはまるで 自分の娘を見つめるような、温かい瞳があった。