『アキさん、最近は何してたんですか?』
『さぁ』
『秘密主義っすねぇ』
そうだ……アキは理由も言わず学校を休んだり、姿を消すことが今まであったんだ。
『橘くんは、いいのよ』
いつもアキが保健室のベッドを使うことを、許していた先生の言葉も。
みんなでいるときもアキだけがお酒を飲まず、タバコも吸わなかったことも。
体育の授業にはまったく参加しなかったことも。
夏休み最後の日、病院の近くでばったり会ったことも。
本当はいくらでも、シグナルは出ていたのに。
それを見逃し続けてきたのは
あたしの方だ――。



