「あの子、小さい頃に入院したせいで、小学校の入学式に出られなくてね。
そのことで当時のクラスでは、けっこう嫌な思いをしたみたいなの。
ほら、子どもって何もわからずに残酷なこと言ったりするでしょう? だから……。
それ以来、病気を隠したがるようになっちゃって。
すごく仲のいい幼なじみの男の子にまで、秘密にしたままなのよ」
「そんな……」
嘘だよね?
そんな話。
冗談で言ってるんだよね?
そう思いたいのに、アキのお母さんの瞳は真剣で。
……じゃあ、アキは
今まで誰にも弱音をはかず
誰の助けも借りようとせず
ひとりで抱えてきたっていうの?
そっけないほどクールな、あの態度の下で――?



