……優しそうなお母さん。 きっとアキのことをすごく大事に思っているんだろうな、っていうのが伝わってくる。 あ、そうだ。 そういえばアキは? 「残念だけどあの子、今、留守にしていてね」 あたしの心を読んだようなタイミングで、お母さんが言った。 「でも今からアキのところに行くから、莉子ちゃんも一緒に行く?」 「いいんですか?」 聞き返すと、お母さんは少しだけ間を置いて 「えぇ、もちろん」 と、微笑んだ。 マンションの下でタクシーを拾い、あたしは勧められるがまま、後部座席の奥に座った。