健吾のバイクに乗って、夜の道を走りぬける。
肌に当たる風は刺さりそうなほど冷たくて、真冬だということを実感した。
初めて乗せてもらった
春の夜から……
夏も、秋も
あたしはこうして健吾の背中に寄り添ってきたんだね……。
「ありがとう」
自分ちのアパートの前でバイクを降りて、健吾にお礼を言った。
「ゆっくり寝ろよ」
「うん……健吾もね。明日からまた勉強忙しいんでしょ?」
まあな、と軽い口調で健吾は答えた。
半月後には、ついに本命校の受験。
そしてその翌日に、あたしは16歳になるんだ。
「なぁ、誕生日に欲しい物、考えたか?」
突然、そんなことを言われたので、あたしは困った。



