驚きの声をあげた健吾の表情に
みるみる力がみなぎってくる。
「やべぇ、絶対受かる気がしてきた。
てか負ける気がしねぇ」
「負ける気って……ケンカじゃないんだから」
突っこみつつも、なんだかあたしも元気が出てきちゃって。
健吾とふたりで、意味もなくケラケラ笑った。
落ち込んでなんかいられない。
あたしにも、健吾にも、アキにも。
それぞれに守りたいものがあって。
時としてそのために、何かを犠牲にしたりして。
そうやって一歩ずつ進んだ先に
未来があるんだ……。
「あっ、そろそろ授業始まるから行かなきゃ」
歩きかけたあたしに、健吾が言った。
「お前さ、誕生日に欲しいもの考えとけよ」
「……うんっ」
がんばってね、健吾。
あたしも一緒に
がんばるからね。



