気づいたとたん、顔がカーッと熱くなる。 さっき少し痛いと思ったのは、皮膚を吸われていたからなんだ。 「莉子」 健吾が顔をのぞきこんでくる。 「お前にだけ辛い思いさせて、ごめんな」 さっきまでの怒りが冷めて、悲しそうな健吾の瞳。 あたしは首をブンブン振って、健吾に抱きついた。 「そんなの、いいんだよ! 噂なんて気にしてないもん」 「でも俺は気にする」 いつになく弱々しい声だったので戸惑っていると 健吾の腕が、あたしをぎゅっと抱きしめた。