「ちょっ……健吾」 周りが唖然とするほどの強引さだった。 健吾はあたしの腕をつかむと、無言のまま廊下を突き進んだ。 連れてこられたのは、美術室がある校舎の非常階段の下。 太陽がさえぎられたその場所は、ひっそりとしていて 湿った茶色い土に、短い雑草が生えていた。 「いきなり何なの!?」 壁に背中を押しつけられたあたしは、目の前に立つ健吾を見上げて言う。 だけど健吾は答えるどころか、あたしの首筋に顔をうずめてきた。 当然、ビックリして飛び上がるあたし。