「お前ら、勝手に盛り上がってんじゃねーよ」
「アキ!」
健吾が顔色を変えて駆け寄る。
「アキ、なんであんなこと――」
「勘違いしないでくれねぇ?」
「……何?」
「あの写真の犯人、俺がフッた女なんだよ。
なんで莉子に逆恨みしてんのか知らねぇけど。
だから俺がああしたのは、一応、自分の責任でもあるから。それだけの話」
アキはあっさりと言いながら、自分の机の横にかけた鞄を取った。
「それに俺、今年もどうせ出席日数足りねぇし。
今さら停学のひとつやふたつ、かまわねぇよ」
……そう言って不敵に微笑んだアキの顔が
あまりにもキレイだったから。
なぜかとても、遠く見えたから。
みんなが黙りこむ中
教室を出ていくアキを
あたしは追いかけずにいられなかったんだ。



