教室の前まで来たとき、中から言い争う声が聞こえ、あたしたちは足を止めた。
「ふざけんなよ、離せ!」
「健吾、落ち着けって!」
健吾とシンさんの声だ……。
なだめようとする真由ちゃんとミツルの声も聞こえる。
「お前ら、アキが行ったこと知っててなんで止めねぇんだよ!?」
「……健吾。聞いてくれよ」
シンさんが真剣な声で話し始めた。
「たしかにお前にしてみれば、今回のことは仲間を売ったみたいで納得いかねぇと思う。
でもな、お前が莉子ちゃんのために頑張ってるのを、俺らはいつも見てるから
こんなことで台無しになってほしくねぇんだよ」
シンさんの言葉は健吾に向けられたもののはずなのに
あたしの胸にも深く突き刺さった。



