午後はほとんど上の空で、授業どころじゃなかった。
先生の声なんか耳に入らず、開いた教科書は適当なページ。
あたしの頭に浮かぶのは、さっきの出来事ばかりだ。
誰がやったか、なんてこの際どうでもいい。
高校に入ってからというもの、嫌がらせの類はさんざん受けてきたせいで、変な言い方だけどもう慣れた。
それよりも気になるのは健吾のこと。
もし一緒に泊まったのが健吾だと学校にバレたら……。
「莉子ちゃん。授業終わったよ」
「え? ……あ」
あたしは真由ちゃんの声で、6時間目の授業が終わったことにやっと気付く。
と同時に、校内放送が流れた。
『1年D組、矢沢莉子さん。至急、生徒指導室まで来て下さい』



