穏やかに見えた日々の中。
あたしたちの何かが、大きく崩れ始めていた。
最初のきっかけは数日後の、昼休憩のことだった。
「健吾。そろそろ休憩終わるから起きて」
お昼ごはんを食べたとたん、うたた寝に入ってしまった健吾を、揺すって起こすあたし。
「教室、戻らなきゃ」
「ん~……」
健吾は学食のテーブルから体を起こし、大きなあくびをした。
最近、予備校に通い始めた彼は、ますます寝不足らしい。
学食を出て歩いていると、前からミツルが顔色を変えて走って来た。
「莉子っ!」
何かが起きたのは一目瞭然の、ただならぬ様子だった。