幼さを残す顔立ちと、耳たぶいっぱいに着けられたピアスが、なんともアンバランスな男の子だ。

だけど子犬のようにくりくりした瞳が、親しみやすい印象を与えていた。


「どうも……矢沢莉子です」

ぺこりと頭を下げて握手をするあたしの横で

「後輩ってことは月島先輩と面識あるの?」

と、真由ちゃんが目を輝かせる。


「うん。あの人、面倒見いいからさ。
俺もいろいろ可愛がってもらったんだ」

「すごーい!」


歓迎会そっちのけで健吾の話題に盛り上がるふたり。

きっと彼はこんな風に、自分のいない場所で自分のことを話されるのも慣れっこなんだろうな。


ふたりの会話を聞きながら、あたしは体育館の外に目をやった。 


校庭は静かで人影もなく、桜の木がゆったりと花びらを落としていた。