壇上では先輩たちがクラブ活動の説明をしているというのに、みんなの耳は完全にこっちに向けられている。


理由は、わかっているんだ。

真由ちゃんの声が大きいからだけじゃない。

それ以上に、あたしたちの話題が彼に関することだからだ。


「……ねえ、真由ちゃん」


ひらひらのスコート姿でアピールするテニス部の人たちを見ながら、あたしはふとつぶやいた。


「そういえばあいつって、何か部活やってたんだっけ?」

「あいつ?」


目をぱちくりさせる真由ちゃんに、小声でささやく。


「月島……健吾」


目を合わさずに言ったけれど、視界のはしっこで真由ちゃんの顔がにやけるのがわかった。