お母さんとお姉ちゃんとあたし

3人でいっぱい泣いた。


迎えた翌朝はまだ少し、ぎこちない雰囲気で。


久しぶりの制服も、久しぶりの我が家のキッチンも、なんだかちょっと気恥ずかしい。


「行ってきます」
 

小さな声でそう言うと、お母さんはコーヒーを飲む手を止めて、微笑んでくれた。
 


アパートから出ると、真由ちゃんとミツルの姿があった。


「おはよ、莉子ちゃん!」

「……どうしたの?」
 

ふたりとも、家が遠いはずなのに……。


「迎えに来ちゃった」
 
へへっと照れくさそうに笑う真由ちゃん。


「てかさ~、俺らマジで優しすぎ」
 
ミツルが偉そうに言う。
 


こんな何気ないやり取りが、無性に嬉しくて

あたしの中の、止まっていた時間が、動き出したような気がした。


「ありがとう……ふたりとも」
 

真由ちゃんは「ううん」と首を振った。


「実はね、迎えに来たのって、あたしとミツルだけじゃないんだ」