「ごめんなさい……」 あたしはお母さんの背中に腕を回す。 「心配かけてごめんなさい……っ」 怒られたり責められたりするより、ずっと胸が痛いよ。 申し訳なくて 自分が情けなくて だけど本当に嬉しくて……。 あたしは、ひとりじゃない。 ひとりなんかじゃ なかったんだ。 健吾は泣き続けるお母さんにお辞儀すると、何も言わずに帰って行った。 遠ざかるバイクの音が、今夜はなぜか優しく聞こえた。