それは……たしかにあたしだ。

クビの原因が自分にあると知って、誤解をとくために店長さんを説得したんだ。

でもすでに辞めたあとだから、撤回は無理だと言われたけれど。
 


月島健吾はその女があたしだと確信していたらしい。

あたしがうなずく前に、ふっと笑ってこう言った。


「また雇ってくれるってよ」


え――?


「……ほんとに?」

「ああ」

「ほんとに戻れるの?」

「今週末からな」

「……よかったぁ! あのことでクビになったって聞いて、すごく申し訳なかったんだ。でも店長さん、わかってくれたんだね。ほんとによかっ……」


止まらない言葉をあたしはハッと飲み込んだ。

はしゃぎすぎている自分に気づいたから。

そして――

そんなあたしを見下ろす彼の顔が、今までにないほど優しかったから。