「あ……」
リビングのドアのむこうに、サヨさんとノブさんの姿。
ふたりがキスしているのを見たあたしは、あわてて寝室に戻った。
……危なかったぁ。
もう少しで邪魔しちゃうとこだった。
いや、もしかしてすでに邪魔してる?
あたしがいると、ふたりが気を使うよね……?
申し訳なくなったあたしは、着替えをすませてそっとマンションを出た。
外はパラパラと小雨が降っていた。
川の方から吹きつける冷たい風に、ぶるっと身震いする。
どこかで傘買わなきゃ。
でも、お金がもったいないなぁ。
ていうか今日、どこで時間つぶそう。
とぼとぼ歩いていると、後ろからバイクの音が近づいてきた。
「おっ、莉子じゃん」
横に停まったバイクから声がかかる。
「健吾! 何してんの?」



